いつも損してばかりいるような気がしている人へメッセージです。
私はそれほど優しいわけではないと思っていますが、とりあえず、自分にできることが少ないと思っているので、自分がしてあげられることがあったら、目の前の人に全力で行いたいと思っています。
しかし、そうした場合、受取側の方によって、”感謝”して大切にしてくれるか、”使い勝手がいい。”と思われるだけなのかにわかれるような気がします。
もちろん、自分がそうするのは、私が優しいわけではなく、そうしたほうが自分が納得するから、という自己満足に過ぎません。なので、感謝までされなくてもよいけど、せめてそのことによって、その人が喜んでくれたり、その人間関係が、よくなったりするといいなぐらいには思います。しかし、単に都合がいいと思われているだけで、使い捨てしようとしているというような相手の意図が見えると、やはりがっかりします。
こう書くと私が与えてばかりのような印象かもしれませんが、私が考えるには、よくギブアンドテイクと言われますが、お金を渡して商品を交換するように、ほぼ同時に受け渡しをすることはあまりなく、ギブする人はギブするだけ、ギブを受けるときはギブを受けるだけ、というような気がしています。能力差や、時と場合があり、私も恩を受けてばかりの人がいますが、その人には一生何も返せないなと思うので、その人の恩をほかの人に、返すべく、努力しているといったほうがよいでしょう。
強面の方、いかつい方に親切にされると、とても大きな感謝をされる傾向にありますが、見かけが優しそうだったり、気が弱そうに見えたり、童顔であったりすると、ついつい下にみられて、いくら犠牲を払って親切にしてあげても、下に見られ、奴隷が貢献しているように、”当然”に搾取されていく可能性があります。面倒なことをただ、押し付けられているばかり、相手の利益を考えてばかりいるのに、相手がそれを全然ありがたいとも思っていなさそうな様子が見える場合。それが、なぜか”いつも損をしてばかりのような気がしている人””近くにいる損ばかりしている気のいい人”なはないかと思います。
ここで、アダム・グラントという人のGIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 (単行本) という著作を紹介します。
アダム・グラントは世界NO.1とされるビジネス・スクール「ペンシルバニア大学ウォートン校」の若き教授。組織心理学者です。
これはビジネス書でありますが、幸せに生きるにはどう行動するのがよいのかという、普段の私たちの生活にも大きく、関係があるとおもいます。
人の相互関係には3タイプがあるといいます。
- ギバー(与える人)
- テイカー(受け取る人)
- マッチャー(バランスをとる人)
大体言葉だけでわかるかと思いますが、
「ギバー」はギブ・アンド・テイクとの関係を相手の利益になるようにもっていき、受け取る以上に与えようとする。
「テイカー」は常に、与えるより多くをうけとろうとする。ギブ・アンド・テイクの関係を自分の有利になるようにもっていき、相手の必要性よりも自分の利益を優先する。
「マッチャー」は常に“公平”という観点にもとづいて行動する。だから人を助けるときは、見返りを求めることで自己防衛する。マッチャーは相手の出方に合わせて、助けたりしっぺ返しをしたりしながら、ギブとテイクを五分五分に保つ。
ということです。
通常はマッチャーの人が多いらしいですし、、うまくギブアンドテイクをコントロールできた人がビジネスで成功するのかと思いがちですが、この研究では、「ギバー」が最も成功しているそうです。
しかし、その一方で、一番下にいるのもギバーだということです。
ギバーが損をするのは、自分の効率を犠牲にして相手を手伝ったり利益を優先したりするので、そうなってしまいます。あなたも、あなたの近くにいるギバーの人もそうなのではないでしょうか。
この点、作者は、このように言っています。
成功するギバーの多くが、人はみな善人だという信念から出発するが、同時に、周囲の状況を注意深く観察して潜在的なテイカーを割り出す。そして必要とあらば、テイカーの感情を思いやるのではなく、その思考を分析し、無条件に与える代わりに、より計算されたアプローチ、すなわち、寛大なしっぺ返しで対応するのだ。万一、おとなしく引き下がって自分のことをあと回しにしそうになっても、自分は大切な人の利益を代表していると思えば、しっかり自己主張することができるのである。
つまり、自分の利益を主張しているとおもうと、言えなくなるタイプの人でも、自分は大切な人の利益を代表していると思えばいいのです。大切な家族との時間を犠牲にするのであれば、引き受けられないなど。その時間や経済的負担を尊敬する人に提供したいなど。
結局は、テイカーの人に提供している時間や経済的負担は、本当は、もっとあなたの周りで、あなたの助けが必要なのに、控えめで遠慮して声を上げられない人のために使うべきかもしれないからです。
奪う人は、どんどん奪いに来ます。奪えれば、それが既得権となり、当然の権利とおもうようになります。そして、単に親切でしてあげていたことを、あなたがこれ以上できないと断ると、当然の権利を奪われたと思い、理不尽な怒りに代わることもあります。
テイカーには気を付けて、対処する必要がありそうです。
この本で、正直者はバカを見る、というのが、残念ながら本当だとしても、成功者がギバーで、人の善意を信じてよいのだということがわかり、ちょっとほっこりした気分です。みなさんも是非、この本を読んでみてください。